空気公団の歌詞 遠くの街と白い世界
山崎ゆかりさんの書く歌詞は、空気公団の世界観に大きく関わっている。自分なりに、思うところを書いてみようと思う。
目次
空気公団
僕とわたし
山崎さんは女性だけど、歌詞の中で「私」という一人称をほとんど使わない。「僕」を使うことが多い。
君を知ったことが僕にとってどんなことかわかってなかったのは僕だった 僕だった
インタビューで山崎さんがそれについて答えたことがある。「女性の自分が、私と言う一人称を使うと、自分自身と詞の主人公が繋がってしまって、イコールと取られかねない。僕を使うことで出る、ズレを大切にしたい」みたいなことを言っていた。
だから、歌詞の話をする時、「この曲の主人公は」という話をしている事が多い。山崎さん自身の心の叫びみたいなものは、あまり描かれる事が無い。
街を作るように、空気公団をやってきたという。
それは、きっと色んな風景や色んな人の事を想像して、自分自身はそれを伝える再生機であろうとしているのだと思う。デモが出来ると、「街と合っているか」を確認するために、一度外で聴いてみるらしい。
白い世界と遠くの街
山崎さんの書くの詞の特徴の一つに、「白い」「白」と言う言葉がよく出てくる、というのがある。「白」と言う言葉について書くと、「白」「白いリボン」「白のフワフワ」と、タイトルに白が使われている曲も多い。
明るい道ばたに倒れる僕の話し声
白い声にいつも邪魔されて
またいつもと同じことをくり返して笑顔を見せつける
白い人は誰
(空気公団 - 白)
白い、と言うのは静けさだと思う。
空気公団を聴いていて、心に浮かぶ景色はとても静かだ。それを色で表すと、白だと思う。
他にも、「遠くの街」「向こうの空」「次の駅」みたいな、少し遠く、向こうの方の風景を思い描かせるような言葉が沢山出てくる。これは、山崎さんの言う「街を作るような感覚」から出て来た言葉だと思う。 遠くの街も、向こうの空も、次の駅も、その言葉だけで、今いるここと、その向こうまでの距離感が表現される。少し、世界の広さが出る。そうやって、少しずつ空気公団の世界を広げてきたのだと思う。
悲しみ知らん顔
それでは。
自分が一番好きな歌詞は、「悲しみ知らん顔」と言う曲。「青い花」収録。最初から最後まで、全ての言葉が綺麗で、優しくて、寂しい。出だしのフレーズで引きこまれて、そのまま最後まで聴いてしまう。歌詞を載せて締めようと思う。
振り返る夕方
繰り返しの君
引き返しの波が
僕らをそっと包んで遠ざかる
手紙を読むそばで
寝たふりをしているんだ
空の憂い顔が
僕らにちょうど似合っている
正しい言葉
正しい意味
本当はないんだな
素敵さ
あるようでないものを
追いかけて生きている
楽しい夜も
寂しい朝も
ひとつになって残るのさ
正しい気持ち
正しい生き方
本当はないんだな
素敵さ
あるようでないものを
追いかけて生きている
あるようでないものを
抱きしめて生きている
関連記事