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あさから。

本の感想、音楽の話、思ったことなど。

People In The Box 「月曜日/無菌室」を語る。

 

 「Ghost Apple」収録の、ピープルの曲の中でも1,2を争う位に好きな曲、「月曜日/無菌室」についての話。

 

 


 月曜日/無菌室




 
 People In The Box - 月曜日/無菌室


ピープルの曲の中でも一番好きと言っていいくらいに好きな曲が月曜日/無菌室。これとならんでいるのは、「Wall,Window」収録の「翻訳機」くらい。

ピープルの曲は変拍子と転調、あとは曲中で拍が変わったりする曲が多くて、そう言う意味では、ピープルの曲の中ではそれほど特殊な曲では全然ないのだけど、やっぱりサビのメロディの解放感が良い。

「指を重ねて 地図をなぞって」というフレーズも重なって、聴いていてとても気持ちが良い。


 曲の構成とか



 イントロからFのキーでサビまで行く。メロのギターのアルペジオが跳ねる所から始まって、長く伸びる様になって、サビではコードになる、という開放的な構成。

 サビ終わりの感想からキーがDに変わる。2番のメロは、ベースとギターの掛け合いが面白い。そして、サビでまたFに転調。

 「ようこそ~」の所でまたDに転調。その後のサビでFに戻って、アウトロはまたDに変わる。FとDを行ったり来たりする構成。

 以前は、真っ直ぐな曲が好きだったのだけど、段々、それだけだと狭苦しく感じるようになり、変な曲、と言うとおかしいけど、あまり真っ直ぐでは無い曲が好きになってきた。真っ直ぐじゃないというのは、構成の話で、理想的なのは構成は曲がりくねっているのだけど、一聴すると真っ直ぐに聞こえるような曲。

 自分の中で、月曜日/無菌室は割とその感じに近い所にある気がする。


 感覚、開放感



 おかしなことをおかしな感じで伝える、単純な事を単純に伝える、複雑な事を複雑なまま伝える、と言うのは簡単だ。難しいのは、本当の形がおかしかったり複雑だったとしても、それを真っ直ぐに、単純に見せることで、それが出来る人が凄いと思う。

 3ピース編成で、音源だとギターが2本入ってたりもするけど、基本的に音が絞られていて、それぞれのパートがはっきり聴こえる。

 1番が終わった後の間奏から2番サビまでの間、そこ以外では殆どルートを弾いて支えているベースがフレーズを弾き始めて、ギターとの掛け合いが始まるのだけど、凄く気持ち良い。

 解放感、と言う意味ではラストでサビのメロディが変わる。「君の好きな歌を歌う 歌を歌っている」から。そこから、ギターが変化して畳みかけていく。コードから、フレーズっぽい感じに。

 スルツェイにしてもそうだけど、多分、波多野さんの感覚でやってると思うのだけど、曲の畳みかけ方が凄い好きだ。開放感のあるサビから、更に別のメロディに変わって、ギターも別のフレーズを弾きだすという。聴いていて、凄く気持ちが良い。

 翻訳機のピアノのリフもそうだけど、メロディラインの発想が素晴らしい。多分、構成はセッションしながら考えている曲が多いのだろうけど、メロディは波多野さんのものなのだろうなと思う。


 予測できないこと



 人によって、音楽を聴くときに注目している所が違うと思う。恐らく、世の中の95%位の人は歌と歌詞だけに注目していて、残りの5%位の人はギターの音を聞いていたり、ベースラインを聴いていたり、それぞれだろう。もちろん、それだけしか聴いていないという人はいないと思うけど、最初に聴いた時、何に注目して聴くか、という意味で。

 自分はどうだろうと考えた時に、メロディと構成だと思った。歌も演奏も聴いているけど、それ以上にメロディと構成を大切に思っている。だから、例外もあるけど、聴いていてその先の進行が予測できてしまうような曲だとちょっとつまらない。

 例外もあるというのは、本当に単純な構成に単純なメロディを乗せているだけなのに、素晴らしい曲と言うのは確かにあって、それは、多分シンプルにした結果なのだと思う。雑な事とシンプルな事は違くて、形になると随分と差が出てしまう。


 歌詞について



 波多野さんの歌詞は、正直頭で理解する感じではないと思う。普段から、あまり歌詞は読まない、というか、はっきりと理解できるような歌詞が好きでないので、そう言う意味では波多野さんの歌詞は好きかもしれない。

 月曜日でいうと、「フィルムは回った逆さに」(その後ギターがフワーッとなる)の部分で映画のフィルムが巻戻る様な感じがする。
 
 僕の勝手なイメージで、実際どういう意図で書かれたのかは分からないけど、月曜日の歌詞だと、「僕の背後を見てた」までが自分の目を通して映った景色。その後の、「ようこそ 此処は舞台で女優が消えた場面さ」で、カメラが引いて映画を見ている様な視点になる。そして、「フィルムは回った逆さに」の所で映画のフィルムが高速で巻戻っていく。ラスサビの「指を重ねて 地図をなぞって だけどそこには何もなくて」の所で、また自分の視点に戻るのだけど、それまでのサビの景色から彼女だけがいなくなっている。

 と、此処まで書いて思ったのは、自分が月曜日/無菌室を好きなのは、曲に「喪失感」を感じるからかもしれない。

 歌詞の意味が頭から終わりまで、はっきりと分からなくても、「ああ、いなくなっちゃったのか」と言う感じがする。その感じが凄く好きだ。「日曜日/浴室」とか、「気球」とかもそんな感じがする。何処か、遠くへ行けるような。

   指を重ねて 地図をなぞって
 だけどそこには何もなくて
 僕も行きたいよ 僕も行きたいよ
 次の世界へ そこへ

 

 

Ghost Apple

Ghost Apple