あさから。

本の感想、音楽の話、思ったことなど。

空気公団について思う事 音楽の目的とは

 

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 色んなバンドの演奏を、生だったり映像だったりで見て、聴いて、その中で一番しっくり来たのが空気公団のライブだった。

 まだ生で観た事ないのが残念だけど、「LIVE春愁秋思DVD」を見てると、最初から最後まで、自分達の事を伝えたいというのが、真摯に伝わってくる。それについて、書いてみようと思う。
目次

 

 空気公団と空気感

 音楽で何かを表現しようとした時に、その曲の持っている力や空気感を100%引きだすのは中々難しいと思う。それは、曲だけじゃ無くて、場所だったりお客さんだったり、色んなことが重なって決まってくることだから。空気公団がライブをする時に、なるべくその曲の空気を伝えられるような環境を選ぶ、と言う所から、もう伝えるための作業が始まっているように思う。

 例えば、空気公団は随分と色々な所でライブをする。普通のライブハウスでやる方が少ないのでは?と思う位、色々な所で演奏している。お花屋さんでやったり。全国を回っているようなバンドが花屋でライブと言うのはそうそうないと思う。

 演奏する事、何かを伝えることに真摯になるのなら、それをどうやってやるかを考えるのも同じくらい大切。空気公団のMVは結構生演奏の一発録りが多くて、そういう撮り方をすることで魅力が一層引き立っている。


空気公団×ビデオSALON Linear PCM Recorder ZOOM H4n & Olympus LS-7


 このMVは公園で撮影しているけれど、周りの音、子供の声とか、足音とか、ノイズだったりまでもが心地良い。晴れた日の午後、公園の風景と言うのが空気公団のイメージと調和していて、環境音まで曲に溶け込んでいる。

 それが出来るのは、自分達の伝えたい事が自分ではっきりと分かっていて、それでいて、自分達が今どういうことが出来るのか、という事も理解できているからだと思う。
 

 音楽の目的とは

 People In The Boxの波多野さんもブログで書いていたけれど、演奏する事は手段であって、目的じゃない。

 波多野さんが、一度、ギターを別の人に任せて、ボーカルに専念してライブをしていたことがあった。多分、ギターを弾きながら歌うことにこだわりを持っていたと思うのだけど、敢えてそれを取り去ることで、気付く事があったのだと思う。今はまた、ギターを弾きながら歌うようになった。ただ、鍵盤を入れ始めたり、以前とは変わっている。

 演奏する事は、何かを伝えたいという、その為の手段であって、それ自体が目的になってしまうと迷路に突き進んでいくのだろうなと思う。演奏すること自体は楽しい事だけど。

 空気公団のアルバム、「こんにちは、はじまり」の中で、一番好きな曲が「新しい窓」と言う曲なのだけど、この曲はボーカルの山崎さんではなく、ベースの戸川さんが作曲して、鍵盤の窪田さんがアレンジを担当している。  歌モノで作曲が山崎さん以外と言うのは初めてらしい。だけど、誰が曲を書くかは空気公団にとっては大きな問題じゃないと、はっきり感じた。もちろん、山崎さんにしか書けない曲もあるけれど、例えば山崎さんが曲を書かなくても、空気公団はそのまま回っていけると思う。

 そう言えば、アジカンの後藤さんが以前に「音楽は手段じゃなくて、音楽が目的なんだ」みたいな事をツイッターで言っていた。

 音楽を通して伝えたいこと、と言うのも良く分からない。はっきりしている人もいれば、何を言いたいのか全く分からない人もいる。RADWIMPSの野田さんにしても、歌詞を書き始めた時は、歌う為に仕方なく書いていて、伝えたい事は特に無かったらしい。歌詞なんてなくても、良い曲は聴いた瞬間にゾクッとする。

 もしかしたら、そういう「訳が分からないけどぞくっとする」「何故か知らないけど感動してしまう」みたいなことを考えて、曲にして、演奏している内に何か気付くことがあって、またそれについて考えて、っていう繰り返しなのかもしれない。きっと、本当に言いたい事がはっきり言葉に出来る人は、音楽じゃないことをしていると思う。

 このテーマはもう少し考えたい。