あさから。

本の感想、音楽の話、思ったことなど。

くうきにみつると、やなせたかし先生

 

 空気公団倉本美津留さんで結成された音楽ユニット「くうきにみつる」の楽曲で、アンパンマンやなせたかし先生が作詞を担当されている曲があります。

 今回は、やなせたかし先生の考え方などの話。音楽の話は少なめです。

 

 
 くうきにみつる



 2013年に、空気公団倉本美津留さんで結成された音楽ユニット。アルバム「はにほへといろは」をリリースした。




 くうきにみつる ダイジェスト

収録曲

1. 6  詞・曲/倉本美津留
2. いっぱい  詞・曲/倉本美津留
3. ニジゴシ  詞/倉本美津留 曲/山崎ゆかり
4. ほんとうの街につもる  詞・曲/山崎ゆかり
5. はんぷく  詞/山崎ゆかり 曲/倉本美津留
6. とても不思議なおじいさん  詞・曲/山崎ゆかり
7. 返事  詞/やなせたかし 曲/倉本美津留


 サウンドは空気公団だけど、作詞作曲に倉本さんが入ることで、空気公団よりも明るく元気で、真っ直ぐな雰囲気になっている。ボーカルも山崎さんだけでなくて、倉本さんも半分位入っていて、山崎さんのゆったりとした感じに、倉本さんの力強い声が合わさって、魅力を増している。




 くうきにみつる - ほんとうのまちにつもる


 PVが作られているのはこの曲だけ。ボーカルも山崎さんなので、空気公団に近い雰囲気。

 個人的には、2曲目の「いっぱい」が一番好きな曲で、あとは「ニジゴジ」「はんぷく」も結構好き。

 空気公団のSoundCloudで、「ラジオ・くうきにみつる」と言う番組が配信されているので、気になる方は是非。


やなせたかし先生
 最後の曲、「返事」の歌詞をやなせ先生が書いている。

 
 「返事」
 
 つまづいて
 泣いているのは
 好きじゃない
 なんのこれしき
 がまんして
 ほほえむことを
 忘れない

 せっかく生まれて
 きたのだから
 たったひとつの
 いのちだから
 無駄づかいしては
 もったいない

 好きなことがあれば
 好きなことをするために
 努力する
 好きなことをみつければ
 努力は楽しみになる

 今がたいせつ
 とてもたいせつ
 なぜなら
 今はかえらない
 明日のことは
 わからない
 今のことは
 今わかる


 やなせたかし先生はアンパンマンで有名だけど、アンパンマンがアニメになってヒットして注目を浴びたのは、もう70歳近くなってからだった。
 20代後半から漫画を書き始めて、40年以上の間、日の目を浴びることなくコツコツと漫画を描いていた。

 やなせ先生の伝えていることはとてもシンプルで、「好きなことを見つけて、コツコツと努力する」とか、「人を喜ばせること」とか。色んな言葉を残されているけれど、とてもシンプルな事を、手を変え品を変え、色んな言葉にしている様に思う。


「幸福とは何だろう。幸福の正体はよくわからない。
 お腹をすかせて一杯のラーメンがとてもおいしければ、それは本物の幸福だ。
 十円には十円の幸福があり、一億円には一億円の幸福がある。
 インスタントラーメンも、シューマイ弁当も、アンパンも、ときには パリの高級レストランの食事よりおいしい。」


「好きなことならコツコツ努力することもつらくはない。
 楽しみながら、いつの間にか何かをつかむこともできる。
 だから、好きなことを見つけて、それを一生、やっていってほしい。
 見つからないなんて言っていないで、とにかく必死で探すのだ。
 絶対に何かひとつはあるはずだ。」


 言葉の一部を抜粋してみた。

 やなせ先生自身は、戦争を体験し、徴兵されている。先生の弟は戦死されたらしい。
 もし、ただ豊かになりたかったり、名声が欲しいのなら、漫画なんて書かずにもっと別の方法を取った方が良い。例えば、なにか事業を始めて拡大していくとか。それをしないのは、「自分の好きなこと」を本当に信じていたのだと思う。

 自分が好きな事で出来ることは、絵を描いたり、詩を書いたり、漫画を書くことだと信じて、それを続けた。結果的に、やなせ先生はヒット作を出したけれど、もし出せなかったとしても後悔はしなかったと思う。


 小さくても



 例えば、音楽でもマイケルジャクソンやビートルズみたいに世界中の人に影響を与え、夢と希望を与えられるような人が居る。一方で、数人の前で演奏しているバンドが居たり、全然上手くない吹奏楽部が居たりする。或いは、ストリートで拾ったドラムを叩く人とか、一本だけの弦のベースを弾く人もいる。お父さんの弾くギター、お母さんが子供に歌う歌も音楽だ。

 それがどんなに小さな音楽であっても、誰かが聴いて、少しでも心に何かを残せているのなら、それはもう十分過ぎる位に良い音楽だ。誰も聴いていなくても、続けていればその内誰かが聴いてくれるはずだ。

 誰もがマイケルジャクソンみたいなパワーを持った音楽が出来る訳じゃないけれど、小さな音楽でも、自分の信じること、好きなこと、良いと思うことを続けていたら、その内賛同してくれる人が増えていく。

 空気公団はそうやって、ずっと自分達のペースで良いと思うことを続けてきたのだと思うし、それとやなせ先生の考え方はとても合っていると思った。


 「 「継続は力なり」というが、あきらめないでひとつのことを思いを込めてやり続けていると、ちゃんと席が空いて、出番がやってくるものなのだ。」


 自分が亀なら、空は飛べないし、速く駆けていく事も出来ない。
 ただ、ずっと歩き続けていれば、その内海へ辿り着くかもしれない。泳いで何処かへ行くべき時が来るかもしれない。

 好きなことを信じ切れるかどうか、って言うのが一番大切だけど、一番難しいことかもしれない。

 

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