あさから。

本の感想、音楽の話、思ったことなど。

小説を読む意味って何だろう?

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  ふと、「小説を読む意味って何だろう?」と思い、考えてみました。元々それ程、小説を読むのは好きじゃ無かったのだけど、最近割と良く読むようになった。どうしてだろう。そんな事を考えて、書きました。何かの参考になると幸いです。

目次

 

 小説を読むこと

 小説の感想を幾つか書いているブログだけど、元々小説を読む事自体はそれ程好きなことでも無く、今でも変わっていない。本を読むとしたら、どちらかと言うと実用書の方が多くて、そっちの方が楽しく読める。もしくは、漫画。楽しく漫画を読んでいる時の感じで小説を読む事は殆ど無くて、明らかに頭の使い方が違っている。妹は逆に小説を読む事が好きで、実用書だったり漫画はあまり読まない。

 役に立つ、と言うフィルター

 多分、自分の中で「役に立つかどうか」と言うフィルターが掛かっているのだと思う。漫画だと1冊10分位で読めるのに対して、同じ厚さの小説だと2,3時間は掛かる。実用書を読むと同じ時間を掛けて役に立った実感があるけれど、小説だとそうじゃないこともある。

 では何故小説を最近よく読むのだろう、と考えた時に、二つ理由があると思った。一つは、頭を整理するため。もう一つは、考えるため。それについて書いてみようと思う。

 小説を読む意味

 頭を整理する

 最近はあまり無いけれど、「小説の頭の10ページ位を読んで満足する」と言うことが良くあった。作風と文体が好みの作者なことが必須条件なのだけど、物語の最初の方を読むとその風景に触れられて、始まりの予感も感じられる。かつ、集中的に字を追うと余計な事が頭から消えて、整理される。問題は、最初の10ページから先を未だに知らないこと。

 あとは、通して読んだ好きな小説の、好きな描写の部分を繰り返して読む事もある。「青の数学」で言うと、栢山君が最初に、学校の空き教室で問題に向かうシーン。

 静かになった。

 春の膨張する光が、そこここに満ちているのが、分かった。

 始まりに備えて凪いでいく心、そのどこかで。

 どうして、自分は静けさが好きなんだろう、とふと思う。

 こうして誰からも遠く離れなければ、静けさに辿り着けない。

 ひとりにならなければ。

 なぜ、ひとりになる必要があるのか。 

 ひとりでいるときが、一番自由だからか。

 タブレットが、始まりを告げた。

 (王城夕紀 - 青の数学)

  この付近とか。

 青の数学を好きな理由は幾つかあるのだけど、その一つに「春の陽射し」「埃っぽい教室」「秋の夜の駅」「透き通った冬の喫茶店」みたいな、静かな音に満ちた描写で溢れている、と言う部分が大きい。きっと、王城先生も書きながらその世界にいたのだなあ、と感じる。

青の数学 (新潮文庫nex)

青の数学 (新潮文庫nex)

 
 考える

 もう一つは、考えるため。読んで、感じて、考える。それは小説でしか出来ないと思う。人の話を聞いている時に、色んな事が思い浮かぶ、と言うのは良くあると思う。何かがインプットされると、それに関連付けて色んな事を思い出したり、考えたりする。

 人の話を聞いている時に、いちいち関係無い事まで深掘りしてしまうと邪魔になるけれど、文字を読んでそうなったなら、一旦読むのを止めて考えれば良い。

 ほかの媒体、例えば映画や音楽だと感じられて考える事が出来るのだけど、止めてはいけない。CDやDVDなら止めてもいいけれど、せっかくの流れが台無しになる可能性が高い。実用書だと、「感じる」の部分が弱くて、漫画だと考える部分が弱い事が多いのと、頭の整理がされない。

 自分が小説を読んでいる時に、一番他の媒体と違うのは、色んな事を思いつくのでメモする事が多い、と言うこと。宮下奈都先生の小説なんかは、テンポがゆっくりで、主人公の内面を丁寧に描いていることが多いので、主人公が何か思ったり考える度に、自分も色んな事を思い出す。考える。その感覚が好きなのだと思う。知らない人の言葉をインプットして、出て来た事で自分が分かる。そんな感覚がある。

 だから、推理小説をあまり読まないのかもしれない。「犯人は誰か」に関して、あんまり興味が無い。森博嗣さんの小説は、文章が好きなので結構読んだのだけど、多分犯行の方法はあんまり理解していなかった気がする。その辺りは、割とどうでも良かった。

 おわりに

 そう言う訳で、自分の思う「面白い!」が多少ずれていることがあるかもしれないけれど、その時は多分見てるポイントが違うのではないかと思います。宮崎駿監督は、「モンゴル」と言う映画を大分途中から見て、「鎧の構造が分かって良かった」と満足してた事があるらしい。なので、自分が何かしら「好き」とか「面白い」と思える部分があれば、それで良いのではないかと思います。

 自分の基準は「風景が綺麗」「静か」「色んな事が思い浮かぶ」あと、登場人物のことが好きになれると尚良いです。多分、物語として相当破綻してても、その4つが満たされていたら自分の中で傑作にします。

 そんな感じの、自分なりの「小説を読む意味について」でした。誰かの参考になれば嬉しい。他の人はどういう理由で読んでいるのだろう。多分、妹は単に「楽しいから」だと思う。

 

 このブログでは、本や音楽の感想を書いています。興味のある方は他の記事も読んで頂けると嬉しいです。

・王城夕紀 「青の数学」 感想。

 -数学をテーマにした青春小説。「才能とは何か、どう向き合うべきか」と言う事について、熱く静かに描いています。

・宮下奈都 「よろこびの歌」 感想(1) - 御木元玲(よろこびの歌)

 -合唱をテーマにした青春小説。6人の少女の視点で描かれる、それぞれの葛藤や希望が暖かくて優しい。

・宮下奈都 「羊と鋼の森」 感想。

 -本屋大賞も受賞した作品。ピアノの調律師の青年が、悩みながら一歩ずつ前に進んでいく物語。静かで美しい描写に惹きこまれる。

 

 それでは。