People In The Box 「Talky Organs」 感想
ミニアルバム「Talky Organs」の感想。 中々、濃い1枚でした。思ったままに1曲ずつ感想を書いています。
目次
Talky Organs
ジャケットの話など
ジャケットはリリースが決定した時から知っていた通りの、茶色と緑のグラデーション。
インタビューでも、前作の「Calm Sciety」と対になっていると言われていて、ジャケットもそう言う仕様に。
↑がCalm Societyのジャケット裏。
↑がTalky Organsのジャケット裏。
同じ風景を見ているけど、随分と違う。上の写真は、まだ全体がはっきり見えていて、線路だったり、高架だったり、電柱だったり、そういう所に目が行くけど、下の写真では向こう側の光に引き寄せられる。アルバムとしても、そう言う構造何だろうなと。Calm Societyは全体を、Talky Organsはもっと狭い所を、っていう。インタビューでは、内と外、とも言っていたけど。そう言う意味では、光の中から影を見ているか、影の中から光を見ているか、と言う事なのかもしれない。
関係ないけど、暗い所から見る方が光は綺麗に見える。
とりあえず、全体的な話と、少しだけ曲ごとに思ったこと。
まず、それぞれの曲の色が分かりやすくて良かった。曲を聴くときに、色だったり風景だったり、何かしらのイメージが浮かぶものが好き。前作のCalm Societyの「海はセメント」はまさにアルバムのジャケットみたいなイメージで聴けたのだけど、残りの2曲が結構漠然としていた。
People In The Boxの曲は、波多野さんが曲から歌詞を書くという事もあり、音を聴かずに歌詞だけ読んでいても何が何だかと言う感じかもです。
1.空は機械仕掛け
アルバム内で一番好きです。Ghost Appleの「月曜日/無菌室」を思い出した。一番最初の曲として、歌詞も今現在を真っ直ぐ、真剣に見つめている様な感じ。2曲目から6曲目までは別の時空で、かつ、見ている人が違うような。7曲目の「季節の子供」で、漸く「ぼく」の目線に戻るけれど、見ている風景が違う、と言うイメージ。
アルバム全体を通して、シンセ?オルガン?の音が色んな所で使われていて、結構耳に残る。
メロでは三連符のピアノがずっと鳴っていて、ライブだとピアノの弾き語りになるのだろうか。
peopleに限らずだけど、こういうアルバムの始まり方が大好き。1曲目がそれだけで完結している様な、Ghost Appleでもそうだったけど、何かが始まって終わったような、そこから何が始まるのか全然わからない感じが堪らなく好き。
全く関係ないけれど、Mr.ChildrenのReflectionでStarting Overが1曲目に来ていたら凄くときめいただろうなーと言う感じ。I Love Youで、Worlds endが1曲目に来ていたのは割と近いかも。
この曲は、今までpeopleにない位にはっきり色んな事を語っているみたい。
2.セラミック・ユース
1曲目から、時空が随分と移動した感じ。多分、語り手も変わっている。1曲目が、色んなこと、原爆だったり、戦争だったり、人々の言い争い、あらゆる煩い事が入り混じっている様な感じがするけれど、打って変わって、静かな、何もない、平和な、痛みの無い、そう言う始まり方。
「パイロット、標的へと高度を下げろ」
静かな箱の中で何となく過ごしているけれど、窓の外を見るととんでもないことになっているぜ、というようなイメージが湧いた。
3.机上の空軍
楽し気なメロディに乗せて、「さあ、笑え!」と言っている様な。自分が何を言ってるのかも分からないし、相手が何を言っているのかも、そもそも何を言っているのかすら分からなくなった。それじゃあ、とりあえず笑えばいいんじゃないかな、ああおかしい、おかしい、と言うイメージ。
4.映画綺譚
1~3曲目までの繋がりと、5~7曲目までの繋がり方が、割と遠い所をポンポン移動している感じなのに対して、3~5曲目はグラデーションになっているような感じ。
5.野蛮へ
最初にタイトルを見た時は、この曲がジャケットのイメージなのかな、と思ったけど、曲の感じは真逆と言うか、タイトルに反して白い光の様なイメージ。巨大な門が開く時に、真っ白い光が向こうから溢れて来ていて、その先が見えない。光があふれた所までしか分からないという感じ。
6.逆光
また、随分と距離が飛んだ気がする。MVが公開された時に色々書いたけれど、疾走感のあるメロから、サビで柔らかくなる感じが凄く良い。ジャケットのイメージに一番近いのがこの曲。
リード曲だからか、もしくはこの曲だからリード曲にしたのか、多分後者な気がするけど、物凄くポップ。翻訳機もそうだったけど、こういう分かりやすい構成の曲をリード曲に持ってくるのは良いと思う。旧市街なんかは、多分、9割位の人は「朝食に密かに毒を盛れ」の所でそっ閉じな様な。
7.季節の子供
聴いていて、夕日に染まった麦畑がずっと頭に浮かんでいて、フリー素材で似たような画を探したら、↓が割と近いかも。
空は機械仕掛けと、季節の子供の一人称と言うか、「ぼく」が同じような感じがする。凄く遠い所へ行ってしまったけど。
最後、「あれ?」と思ったら、(多分)曲が巻戻っていって終わる。無限ループと言うよりは、現在に引き戻した、と言う感じ。空は機械仕掛けが、目線として、一番リアルな現在に近い気がしているけど、最後の最後で、行ったきりじゃなく、現在まで戻ってきた。色んな所へ行った末に。
正直、一回目はびっくりした。ライブで再現するのは難しいだろうけど。こういう表現手法、今まで使った人たちっていたのだろうか。
前にも書いたような気がするけど、ライブでもアルバムでも、映画でも小説でも、行ったきりで終わるという作品が嫌いで。ジョンラセターが、必ず映画の終わりに現実へ戻っていく、優しい哲学を持っていて好きだ。師匠シリーズでも、最初から「終わった物語」として描き続けているから、どんなに遠い所へ行ってしまっても、常に現在が見え隠れしている。その寂しさが好きだ。
戻ってくれてありがとう、と思った。
とりあえず、空は機械仕掛けが一番好きです。
特典のDVD
ちなみに、DVDが付いていたけど、段々ふざけ度が上がっていくという。
「このタム回しを、日々の生活に活かしてくれたら嬉しいです」 という名言を残し去っていったダイゴマン氏と、何回か死んでしまった波多野さん、普通にベースを弾いてた福井さんの動画でした。
そんなTalky Organs。
関連記事
・橋本絵莉子波多野裕文って言う、名前そのままのデュオが誕生したらしい。