People In The Box 「Cut Five」の感想。
先日リリースされた、People In The BoxのLive DVD「Cut Five」の感想です。
Cut Five
2017年1月27日にめぐろパーシモンホールで行われた、「空から降ってくるvol9 劇場編」を映像化した作品。前作のCut Fourから1年半ぶりのリリース。ツアーやりながらも、リリースペースの速いバンドなので、コンスタントにDVDもリリースしている。
前作の「Cut Four」が個人的な好みも込みで傑作過ぎたので、それは中々超えられないと思うけれど、楽しみに待っていた。1回通して見て、何曲か個別で聴き直した感じだと、やっぱり前作の方が好きではあるものの、良い作品でした。以下感想。
編成など
アルバム「Wall,Window」のツアーから、ボーカルギター波多野さんが積極的にピアノを取り入れるようになって、Nord Electro3と言うキーボードが編成のレギュラーに組み込まれる様になった。Musical-instrument | People In The Boxのページから、メンバーの使ってる楽器紹介が見られるので、興味ある方は見てみると面白いと思います。
今回は、それに加えて波多野さんがボコーダー(鍵盤から声みたいな音を出すもの)、福井さんも見た事無いベース、ダイゴマン氏もコンガ?見たいな手で叩く打楽器と、ビックリチキン(楽器なの?)を使用。むしろ、最初の方を見ていると、ドラムセットとキーボード以外見慣れない楽器ばかり。
第1部
以下、DVD観ながら思った事をつらつらと書いています。曲の好みによって文章量が変化します。
01.野蛮へ
Talky Organsより、野蛮へ。ボコーダーのアレンジで、神聖な感じが増している気がする。
02.見えない警察のための
時々、ドラムの傍に吊り下げられているビックリチキンが見切れて気になる。
03.時計回りの人々
打楽器がボンゴっぽいのに変更。この曲は、歌詞の世界観が良いと思う。「街は実物大の模型で」と言うフレーズが好き。Ave Materiaの曲は、全体的に頭がゆらゆらする感じの曲が多い。
04.数秒前の果物
ピアノアレンジ版。前作のCut Fourでは、エレキギターで演奏していたと思う。今回のライブ、特に前半の方は今までと違う編成のアレンジが多い。数秒前の果物は、なんかフワフワしていて楽しい気分になる曲。「切られる数秒前の~」の所で波多野さんの左手がノってる感じで面白い。
05.さまよう
Wall,Windowの中でも、結構好きな曲。これも普段ギターだけど、ピアノアレンジに。ピアノになると、イントロがちょっと壮大な雰囲気になってる気がした。ダイゴマン氏はボンゴ?的なのを演奏。
06.空は機械仕掛け
アルバム「Talky Organs」より、空は機械仕掛け。音源だと、オルガン、ピアノ、アコギ、エレキギターと色んな音が入っているので「ライブはどれ弾くんだろ?」と思ってたら、前作「Cut Four」ではエレキギターのアレンジだった。今回は、ピアノアレンジ。
ギターでもピアノでも、2番のメロ部分を弾きながら歌うのが凄い難しい曲。歌は4拍、楽器は3拍なので、タイミングが取りにくい。
07.ニコラとテスラ
波多野さんがボコーダー、福井さんがベース変更。曲ごとに皆楽器をどんどん、当たり前の様に変えていくのが凄く良い。前作辺りまでは、ピアノの珍しさみたいなのがあった気もしたのだけど、もう「楽器は何でも良い」って言う所まで来た様な感じ。
08.きみは考えを変えた
この曲も、普段はピアノアレンジだけど、ボコーダーに変更。これはこれで良いのだけど、やっぱり間奏のピアノがきらびやかな曲なので、元アレンジが好きかな。
09.昏睡クラブ
ここで真打ち?のビックリチキンが登場。途中の「ビィイイイィ」って雄叫びを上げる所が良いです。それにしても、歌詞が難解。
10.ダンス、ダンス、ダンス
www.youtube.com 漸く?普段通りのアレンジの曲。この曲だけじゃないけど、福井さんのコーラスってかなり綺麗だと思った。ライブで「市民」の掛け合いを聴いた時も思ったけど、ベース弾きながらあのコーラスは結構凄いと思う。
第2部
いつものOPテーマが流れて、スタート。1部はOPも違う曲だったし、「いつもと違うピープル」を見せていたのかな、と思った。2部は、いつものピープル、そしてこれから、みたいなテーマな気がする。
11.木洩れ陽、果物、機関車
www.youtube.com 11曲目にして漸くエレキギターが登場。福井さんのベースも変更。この曲は、ピープルの中でもシンプルに疾走感のある爽やかな曲で良い。
12.球体
ライブでは良く演奏される球体。木洩れ日、果物、機関車は新曲だったし、それまでは編成にばっかり気が取られていたので、漸くここで「そう言えばライティング良いな」と思う。前作Cut Fourのライティングも凄く良かったけど、今作も良い。ピープルのライブDVD(と言うかライブ)は、音楽も当然素晴らしいのだけど、ビジュアル面も曲の世界観を増幅させられるような感じがして、とても良い。
13.She Hates December
1stアルバムRabbit Holeから。やっぱり、「空は機械仕掛け」とか、「きみは考えを変えた」と比べると、随分雰囲気変わったなあと思う。と言うか、むしろよくAve Materiaまでギターロックであれだけ違う音楽やってきたなあと。
14.New Song 01
新曲。これは、5月のライブでは聴いた事無い曲でした。「数秒前の果物」とか、「机上の空軍」みたいな、楽し気だけど不思議な感じの曲。音源化されたら、コード感がはっきりして、もっと好きになりそうな気がする。
15.New Song 02
5月のライブでも聴いた、隕石の曲。途中の語りと、ラストのサビの連続が凄く気持ち良い曲。多分、次のアルバムではこの曲がリードトラックになってMV作られる気がする。久しぶりに、ryu katoさんのアニメーションでMV作られたりしないだろうか。
16.動物になりたい
これも聴いた曲。前の2曲はタイトル未定で、この曲にタイトルが付いてるのはどういうさじ加減なのか。Cメロ(と言うか、ラスサビ?)の畳みかけ方が凄く好き。ちょっとFrog Queenぽさを感じた。
17.冷血と作法
DVD4作の内、3作に収録されてる曲だけど、シングルの収録曲。そう言えば、ここまでMC無しだけどこのまま最後まで行くの?と思い始める。
18.金曜日/集中治療室
金曜日のイントロの金曜日感(?)は凄い。かなり好きな曲なのだけど、ただただイイネ!としか。あまりコメントが無い。強いて言うと、Cut Fiveここまで観てきた中だと、この曲が一番気に入ってるかも。
18.5ドラムソロ
しばし、ダイゴマン氏のドラムソロ。
19.逆光
www.youtube.com 確か、前作リリースの時ニコ生で解説みたいなのをしていたのだけど、その時「逆光はムズい」と言う話をしていた。大体、何処か1か所は必ずミスるらしい。「翻訳機」とか、「木洩れ日、果物、機関車」もそうだけど、この曲もピープルにしてはかなりストレートな曲。波多野さん、凄い声の調子良い気がする。
20.汽笛
ラスト。MC無しなのか。強いて言うと、「動物愛護団体の方は来てませんよね?」があったけども。前作のラストも汽笛だったけど、今回も同じく汽笛。確かに、末広がりな感じの曲で明るく終われて良い。個人的な好みでは、「月曜日/無菌室」「木洩れ日、果物、機関車」で終わるセットリストを聴いてみたいなと思う。1曲目っぽい、「ここから始まるの?」って言う感じで終わるセットリスト。
特典映像
ダイゴマン氏がそばを打って食べる動画です。長野の空が広くて、山並みも美しいな、と思いました。あと、ワサビも収穫してます。自然の緑と、空の青のコントラストが美しい。そして、最後に波多野さんも登場。翻訳機に乗せて、そばを茹でる。そして食べる。翻訳機のおかげでなんか良い感じの終わり方。
終わりに
全体的には、やっぱり前作の方が好きだと思った。JFK空港のアレンジが凄かったのが大きいのと、ライティングも曲ごとにはっきりしていて良かった。ただ、前作がPeople In The Boxの集大成的な感じだったのに対して、今作は色々実験的な事もしていて、「これからのPeople In The Box」的な内容だったと思う。そう考えると、まだまだ実験を繰り返していって、その内Cut Fourを超えるのを出してくるのではと思う。出来たら、ライブで直に見れると良いけど。
そんな感じのCut Five。良かったです。でも、DVDどれかオススメと言われたら、まずCut Fourが良いと思う。
それと、ライブレポートを書いてる方の記事を紹介しておきます。DVD観終った後に読ませて頂いたのだけど、2次元の映像が少し立体的になった感じがしました。
nomuzikfighter.hatenablog.com 「MC無し?」と思っていたけれど、DVDではカットされていただけの模様。ライブ映像、と言うより音楽の映像作品としてビシっと締めたかったのかな。すごく良いレポートで、DVDと合わせて読むと楽しいと思います。
それでは!
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