あさから。

本の感想、音楽の話、思ったことなど。

Vanessa Carlton 世界で一番好きなシンガーの話。

 

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  自分の世界で一番好きなシンガー、Vanessa Carltonについて書きました。歌声の魅力、曲の魅力、色んな好きなところがあるので、非常に長い文章になっています。

 Vanessa Carlton


 1980年生まれ、アメリカ出身の女性シンガーソングライター。演奏は基本ピアノ弾き語りで、たまにバイオリンが一本加わる。




Vaneesa Carlton - A Thousand Miles


 代表曲の「A Thousand Miles」。この曲だけは知っていると言う人も多い筈。プロアマ問わず色んな人がカバーしていて、Youtubeを見ると10年以上前の曲だけど、未だに結構頻繁にカバー動画がUPされる。

 ONE OK ROCKのTakaとRyotaが一番好きな曲としてあげて、バンドとしてもカバーしていたので、それで知ったというワンオクファンの人も多いと思う。




 A Thousand Miles - ONE OK ROCKのカバー版

 

 天は何物か与えるらしい

 元々バレエをやっていたけれど、音楽の方に情熱が向いたので、結局はそちらの道へ進む事に。バレエに関しては、White Housesという曲のMVで痕跡が見える。




Vanessa Carlton - White Houses

 
 ちなみに、この曲は発表された頃「歌詞が不健全」という理由で、MTVの検閲に引っかかり、MVが公開されなくなったらしい。確かに、Cメロの歌詞で少女が処女喪失するような感じのことを歌っている。


 My first time, hard to explain
 Rush of blood, oh, and a little bit of pain
 On a cloudy day, it's more common than you think
 He's my first mistake

 私の初めての時、説明が難しいな 
 血が流れて、ほんの少しの痛み
 曇りの日、それはあなたが思うよりもずっとありふれたこと
 彼は私の初めての間違い
 (White Houses)


 更に、ヴァネッサはコロンビア大学に入学して、中退している。コロンビア大学は世界の大学ランキングで第10位にランクインしている。日本の東京大学は16位。1位はハーバード。才能ある人って、結構良い大学に入った後すぐにやめてしまうイメージがあるけれど、インパクトが強いからそういうイメージが残っているのだろうか。

 元々クラシックのピアノをやっていて、作曲にもそれは影響していると思う。

 2ndアルバム「ハーモニウム」に付属してる動画で、彼女がドビュッシー組曲子供の領分より、「グラドゥス・アド・パルナサム博士」と言う曲の一部を演奏しているシーンがある。

 なんとなく、その部分のフレーズが、そのアルバムに収録されているAnnieと言う曲のリフに近い様に思った。



 Vanessa Carlton - Annieのリフを弾いている所(2:45~)
 Vanessa Carlton - グラドゥス・アド・パルナサム博士を弾いている所(2:55~)


 

 Vanessa Carlton - Annie

 
 ちなみに、2ndアルバムのハーモニウムは、1stアルバム「Be Not Nobody」の爆発的なヒットに比べると、比較にならない位に売れなかった。内容の問題と言うよりも、アルバムを作る時に、ヴァネッサがツアーで知り合ったロックバンドの人にプロデュースを頼んで、レコード会社とかなり揉めたらしい。

 1st~3rdアルバムまでは、ある程度ポップな事を意識しているように感じるけれど、4thアルバム以降はかなり曲がアーティスティックになって来ていて、A Tousand Milesみたいな曲が聴きたいファンは完全に置いていかれているなあ、と感じる。

 

 音楽的な変遷

 1stアルバム「Be Not Nobody」

 冒頭で挙げた曲、A Thousand Milesは彼女の代表曲だけど、ほぼデビュー曲みたいなものでもある。




 Vanessa Carlton - Superhero


 1stアルバムを制作するにあたって、カットされた曲。個人的にすごく好きなのだけど、未だにどのアルバムにも収録されていないので、Youtubeの動画で聴く以外に無いのが残念。Be Not Nobodyでプロデューサーを務めたRon Fairに出会う前に作っていたミニアルバムのデモ音源らしい。

 ちなみに、A Thousand Milesはデモの段階では「Interlude」(間奏)というタイトルだったらしい。 

 

 2ndアルバム「Harmonium」

 2ndアルバムは、上で挙げたWhite Housesや、Annieのような曲。1stのキラキラした感じから、少し奥へ行った感じ。まだまだポップさが残っているアルバム。 

 

 3rdアルバム「Heroes And Thieves」

 3rdアルバムの「Heroes And Thieves」は、個人的に彼女の最高傑作だと思っている。




 Vanessa Carlton - Nolita Fairytale


 A Thousand MilesのMVそのままの流れから、ピアノをぶっ壊す。日本人だからか、「うわもったいない」と思ってしまう。彼女の殻をぶち破ったアルバムになってる、って言う意思表示だと思うけれど、確かに凄まじい位に良いアルバム。




 Vanessa Carlton - The One


 その中でも、特に気に入っているのが「The One」と言う曲。この曲はコーラスにStevie Nicksが参加していて、Youtubeには二人で歌っている映像なんかもある。




 Vanessa Carlton - The One (Live 1:36~)


 歌詞も素敵で、休日に恋人を待ちわびる所から始まって、時間が流れて、昔の恋人がステージの上で演奏するのを眺めるシーンで終わっていく。彼女の作るメロディラインはどれも綺麗で引きこまれるのだけど、3rdアルバムはそれが全曲に渡って続いている感じ。

 Stivie Nicksとは親交が深いらしい。Nolita Fairytaleの歌詞にも登場している。


 Want a garden by the ocean tide
 Because I lose my way searching for stage lights
 Well, Stevie knows and I thank her so
 Cos it's your seeds I sow
 And now I know

 海の近くに庭が欲しい
 ステージライトの見つけ方が分からなくなったから
 うん、スティービーは分かってる 彼女には感謝してる
 それは、私の蒔いた種だから
 分かってるって
 (Nolita Fairytale)

 

 4thアルバム「Rubbits on the Run」

 4thアルバムの「Rubbits on the Run」は3rdアルバムから4年と結構感覚が開いて、内容も変わってる。

 なんとなく、ヴァネッサの世界観は最初都会から始まったのが、段々と森の奥の方へ向かっていっている気がする。




 Vanessa Carlton - I Don't Want To Be A Bride


 4thアルバムから、リバーブ強めの曲が多くなってきた。まだ、森の入り口辺りな感じ。

 ヴァネッサはバイセクシャルである事を公言していて、この曲もそのことを歌っていると思う。


 But I don’t wanna be a bride
 Apologies to your mother
 I wanna be your girl
 And spend this life with you
 But I don’t wanna wear white
 You know it’s too late for that
 But can we keep the ever after?

 でも、花嫁にはなりたくないんだ
 お母さんに謝っておいて
 あなたのものでありたいし
 この人生をあなたと生きたい
 でも、白いドレスは着たくないんだ
 分かるでしょう もう遅過ぎるって
 だけど、私達はずっとこのままでいられるよね?
 (I Don't Want To Be A Bride)


 ちなみに、彼女はその後結婚して子供が一人いる。インスタグラムを見ると、時々子供の写真がUPされていて、かわいらしい。 

 

 5thアルバム「Liberman」

 5thアルバムの「Liberman」は去年、2015年にリリースされて、この記事を書いている時はアメリカでツアーの真っ最中みたい。アルバムがリリースされる前から、殆ど全ての曲を先にライブで演奏していて、現地のファンがUPしてくれた動画を見ていたら、リリース前にほとんど全ての曲を把握出来た。




 Vanessa Carlton - House of Seven Swords


 MVに子供も登場。Libermanで、完全に森の奥の方へ行ってしまった感じがする。Be Not Nobodyと比べると、まるで別人のよう。それでも相変わらず美しい声で、年を重ねた分優しくなっている感じがする。

 
 

 Vanessa Carlton - RIver (Live)


 そんな中で、Riverと言う曲はすごく良かった。今までの彼女の持っていたポップな部分が、そのまま深い所へ行った感じ。聴いていて凄く安心する。

 

  声と佇まい

 そんな感じに、結構な変化を遂げているヴァネッサだけど、僕が一番好きなのはやっぱり彼女の声。こんなに素敵な声を持ってる人は中々いないと思う。デビューした20歳頃の時は、幼さの残る透きとおる声で、衝撃的だった。自分が知ったのは、彼女がデビューして暫く経ってからだったけど。

 それから10年以上経って、声に優しさ、柔らかさ、深みが増して来た感じがする。特に、4thアルバム以降。子供が出来た、と言うのも大きいと思う。

 あとは、佇まいが好きだ。元々、ピアノ一本と声だけの演奏者で、たった一人でも自分の世界をつくってやる、みたいな強い意志を感じる。




 Vanessa Carlton Dateline NBC


 アメリカのテレビ番組。ステージのピアノを触っているシーンが好きで、時々見る。

 彼女の楽曲は、ベースがピアノと声で、世界観の主導権をヴァネッサ自身が強く握っているから、きっと引きこまれるのだと思う。

 そう言えば、大統領選挙の時にヒラリーを支持していて、ツイッター、インスタグラムでトランプを強く批判していた。そして、トランプ当選が決まったあと、「これは現実のnightmareだ」みたいなことをツイートだか、リツイートしていて、今後の作品に影響しないと良いがと思った。トランプ政権が上手く行かなかった時、次のアルバムはかなり悲壮的な無いようか、攻撃的な内容になるかもしれない。もう、森の奥深くまで行ってしまったので、そこから何処へ行くのか気になっている。
 そんな感じの、世界一好きなシンガーVanessa Carlton。A Thousand Miles以外にも素晴らしい曲がたくさんあるので、興味を持った人がいたら、どんどん聴いてみてほしいと思う。  オススメは1stアルバムの「Be Not Nobody」。2ndの「Harmonium」、3rdの「Heroes and Thieves」も比較的聴きやすい。 

 4作目の「Rubbits on the Run」、5作目「Liberman」は雰囲気が段々森の奥っぽくなっていって、ポップさは低くなっていくので、そう言うのが好みの人には合うかも。
 

 それでは。