空気公団の話をしよう(7) 5thアルバム「メロディ」の話。
空気公団の紹介シリーズ第7回。次々回辺りで終わる予定。今回は、5thアルバム「メロディ」の話。
メロディ
空気公団の初期の頃は、現メンバーの山崎ゆかりさん、戸川由幸さんのほかに小山いずみさんと、石井敦子さんという方がいた。その後なんだかんだあって(その辺りのことはふわっとしか知らない)、小山さんと石井さんが抜けて、4人体制の空気公団が終了する。前作の「あざやか」で窪田さんがアレンジャーで参加して、その後メンバーに加わって今の空気公団になる。
だから、アルバム「メロディ」は、空気公団第二期としての1stアルバム、とも言える(厳密にいえば「あざやか」かも)。レーベルも、メロディ以降は「フワリスタジオ」が入ってる。フワリスタジオ、の名前自体は1stの「くうきこうだん」からずっとあるけど。
もう少し、メロディの話。空気公団は今までフルアルバムを9枚出しているけれど、個人的にグループにすると
・1st「くうきこうだん」
・2nd~3rd「融・こども」
・4th「あざやか」
・5th「メロディ」
・6th~9th「春愁秋思・夜はそのまなざしの先にながれる・こんにちは、はじまり・ダブル」
の5つ。
1stは、他の作品と比べて良い意味で統一感が無くて、空気公団の自己紹介みたいな雰囲気がする。曲数も多いし。2nd~3rdは、第一期の空気公団という感じ。4th「あざやか」はちょっと変わった感じのアルバムで、他と違う感じ。6th~9thは洗練された感じというか、作品としてすごく芯が通っていて、凛としてる。アルバム曲一つ一つのつながりが強いというか。
それで、5th「メロディ」は、春愁秋思以降ほどコンセプチュアルという感じはしないのだけど、第一期の空気公団とも少し違う感じ。それでいて、「あざやか」ほどにはクセが強くなくて、聴くと「空気公団だなあ」ってなる。
聴いていて、窪田さんが入ったことで明らかに音は変わってるのだけど、曲はこれ以上無い位に空気公団。もしかしたら、「第二期の空気公団のイメージ」をはっきりさせる意味もあったのかも。この3人になって、空気公団はこうなったよ、って言う。だからこそ、自作「春愁秋思」以降は毎回毎回、ものすごくコンセプチュアルな上に挑戦し続けてる。一回「メロディ」を作ったから、色んな方向に行けたのかな、と。
山崎さんによると、「ホームで待っているとき、人の中にメロディがあることに気づいて、アルバムの構想を練り始めた」とか。そうして聴くと、このアルバムは色んな人の中にあるメロディを集めたものものなんだなって思った。風景よりも、人の想いみたいなのが強いアルバムというか。誰かの目に映る街を描く、というのはずっと同じなのだけど、メロディの曲ではより人の姿が見えるような感じ。
ちなみに、5月23日にリリースされる「僕の心に街ができて」は6th~9thともまた違った、次の空気公団への1作目になる気がしてる。
空気公団の解説
「メロディ」は空気公団メンバーの全曲解説があるので、それを読んでもらった方が良いかなあと思います。
あと、下のページから他の作品紹介にも飛べるのだけど、公式HPの何処から行けるのかが分からない。結構読んでて面白いものばかりなのに勿体ないような。
そんな感じの空気公団解説。
風が吹くような
アルバム「メロディ」は、個人的に今まで出てるアルバムの中で一番爽やかだと思う。優しい風が軽やかに吹き抜けていくようなアルバム。1曲1曲が短い、って言うのもあるかも。10曲で37分。飛ばし飛ばしに感想のようなもの。
1曲目の「出発」で新しい朝へ歩き出したあと、見えてくる景色がずっと爽やかで軽やかで、楽しげ。
2曲目「こんな日」は歪みのギターが目立つのに、何処までも晴れた朝の風景が浮かんでくる。描こうとしている風景はきっと1stから変わっていないはずだけど、音が進化して、今まで知ってた景色を塗り替えていくような。
4曲目の「素敵なもしも」も朝の風景。どうして、音だけでこんなに風景を描けてしまうんだろうって不思議に思う。
9曲目「風の瞬間」。駅のホームが出てくる曲。山崎さんのコメントを読んだからかもしれないけど、この曲がアルバム「メロディ」をひとつにまとめているような感じがする。駅のホームから、色んな人のメロディへ飛んでいくようなイメージ。
10曲目は表題曲「メロディ」。7分以上ある長い曲。
「どんな日々も僕らのそばにメロディ」
9曲目まで歌ってきたメロディを思い出させるような。色んな場所に、色んな人に、どんな日々にでも僕らのそばにはメロディがあるよ。そういうことに気が付いてほしくて出来た曲たち、アルバムなのかな、と思った。僕らの気が付かないようなところで、きっと素晴らしいメロディが鳴ってる。
そんな5thアルバム「メロディ」。すごく爽やかで聴きやすいアルバムなので、空気公団知らない人に最初に聴いてもらうのにも良いかも。
次回は「春愁秋思」のお話を。
それでは!
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